【書評】『「学力」の経済学』(中室牧子著)
本日読了した本はこちら。
思い込みで語られがちな日本の教育において、
エビデンス(科学的根拠)の必要性を教育経済学の観点で説いたものです。
『「学力」の経済学』 中室牧子著、ディスカヴァー・トゥエンティワン
- ゲームは子どもに悪影響?
- 教育にはいつ投資すべき?
- ご褒美で釣るのっていけない?
といった教育に関する素朴な疑問は、子を持つ親なら誰しも持つものです。
かく言う私も上の子が小学一年生なので、
どういった方針で教育を進めていけばいいのか模索していたところでした。
その際、自分の経験則だったり他人の成功例を基にして
子どもに適用させようとしがち。えてして、
因果関係(Aという原因によってBという結果が発生)と
相関関係(AとBの事象が同時に起きているだけ)とを
混同してしまうことが多いのです。
これは何も素人に限った話ではなく、
公教育の現場や子育ての専門家と呼ばれる人たちも、
科学的根拠のない個人的な経験に基づく主張していることが
往々にしてあります。教育の定石を
データに基づいたものにしようというのが著者の主張です。
詳細は直接著書を手にとっていただくとして、
印象に残ったのが「非認知能力」の重要性に関する部分。
IQや学力テストで計測される認知能力と異なり、
「忍耐力がある」
「社会性がある」
「意欲的である」
といった人間の気質や特徴のようなものを指します。
この非認知能力こそが、将来の年収や学歴・就業形態などの
成果にも大きく影響することが明らかになってきたそうです。
我が家は有名校に入れるための学習塾は全く考えておらず、
こうした資質については日頃から躾を心がけていることで
幾分か高まっていると期待したいです。
折しも、最新号の週刊東洋経済でも
同じテーマの特集が組まれています。
幼児教育の研究が進んでいるアメリカに比べると、
日本の公教育はまだまだ課題が山積み状態。
まずは家庭でできることから少しずつ実践していきたいものです。